家祈祷(やぎとう)
鳴動釜による家祈祷
鳴動(めいどう)釜とは鳴り釜とも呼ばれ、古神道に始まり修験道との融合により各地で独自に発展した神事修法である。
鳴動供として、信者宅で行う「風呂敷護摩」(座護摩)と併せて修法する場合もある。
家祈祷の際には、その土地に鎮まる地神や屋敷を護る神々を召請し、小規模の祭典形式にて『火の神』『水の神』『厠の神』『土地の神』『屋敷神』への感謝の意を表す供物を献じ、同時に当家の「家内安全」「家門繁栄」「子孫長久」等々の祈願修法をする。
実際には屋敷祓いの修法時には、釜の蓋を開けた際に釜内から音が鳴り響き吉凶の判断ができる。
音が鳴り始めると行者がその釜を両手に持って家の中の各部屋を周り「穢れ不浄の氣」を祓い清めるのであるが、寧ろ”氣の流れを整える”との表現の方が相当であろう。
およそ我々人間は日常の中で、何気なく「気」という言葉を何度も口にしている。
「元気.陽気.陰気.気持ち.気分.気合い.強気.内気.人気.寒気.気負う.運気.活気.勝ち気.気付き.色気.気迫.気軽.気質.気色.気配.乗り気.気が合う.気になる…」等々、
数を上げればきりがない程「氣」というものが我々人間の身体や生活に深く関わっている。
それは人のみならず、建造物にも大きく作用する。
住人の「気持ち」の浮き沈みが日々によってどの様に変化しているか、また家屋に出入りの人達の持つ各々の「気質」の良し悪しによっても「氣」の流れは常に変動することになる。
また、店舗や事務所など不特定多数の人が出入りする場所では善悪の「氣」が、循環と停滞を繰り返して次第に「氣」の流れが滞ってくれば「不浄の氣」が溜まることとなり、やがては事業の不振や家庭不和、身体不調の原因ともなりかねない。
この鳴動釜作法では、「氣の流れ」が順調な場所では釜の音が鳴り響き、「氣」の淀んだ場所ではピタリと音は鳴り止む。
また、人体に於いても同様に「病気」の人の前では音は止む。
そこで、祈祷を行い邪気が浄化されると「氣流」は整い再び釜内から音が鳴り始めるのである。
「不浄の氣」が改善されたか否かは、”釜の鳴り具合”で如実に顕れるため、誰もが直ちに判断することができる。
また、家祈祷以外に「除災招福」「心願成就」等の諸祈願にも効験を発揮し、諸事情で来訪が困難な信者各位のために、行者から出向いて祈願修法ができるのも特徴である。
近年は当神事を修法する行者も減少の傾向にある。