修驗本坊    本源山  王 城 院

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不動尊

悪魔降伏の尊

修験道の開祖とされる飛鳥時代の呪術者、役小角〈えんのおづぬ〉(634一701伝)が、その御身に感得された忿怒の形相を示す金剛蔵王大権現と共に、主には大聖不動明王を本尊と仰ぐ。


では何故に現代の行者たちは不動明王を本尊として仰ぐのか…


 ここに一つの逸話の一部を紹介する。


「昔、箕面山中に人肉を喰らい山を荒らす夫婦の鬼(前鬼.後鬼)が住みついており、里人に恐れられていた。

夫婦の鬼には五人の子がいた。

この事を知った役小角は二鬼の悪行を止めさせるため、二鬼が玉の如く愛した末子の鬼彦を捕らえた。

事の成り行きを知らぬ二鬼は愕然とし、天に馳せ地に潜るも末子である鬼彦の発見には至らず。

これを役小角の方便とは知らず、遂には役小角の元を訪ね、ひざまづき涙を流して懇願する。

『何卒慈悲を垂れ給え。もし我等の元に鬼彦を与えて下されば尊者に従い忠実な下僕とならん』と。

小角は軽くうなづき、二鬼に『人を殺害せざる事を誓約すべし』と説いた。

然し彼らは言う。『人肉を食する事が叶わざれば、我等は餓死するより他はない。どうすれば良かろうか…』

これに対し小角は慈悲心を以て答えた。

『粟を食えば良い。更に悪行を止めるべきなり』と説き伏せて小角の教えに従い、二鬼は懺悔し誓約して平常心を取り戻した。


小角はこの機会に二鬼に告げた。

『虚空に一佛あり。不動明王と号す。悪魔を降伏すること汝が人を悩ますが如きより勝る。我が言葉に背けば汝等必ず害せられるべし』と。

二鬼は感激に打ち震え『尊者の広大な慈悲に救われました。尊者を師と仰ぎ従う事を許し給え』と願い出た。

この時、小角は二鬼に対して『汝等、心折れんとする時は是を念じ唱えて怠ることなかれ』と諭し、《稽首聖無動尊秘密陀羅尼経》を授けたと云う。


この逸話から察するに、件の二鬼を後の山伏たちは己が自身の存在と重ね合わせていたのではあるまいか…


一 我即不動の化身なり 一


行者は実践修行をすることによって、不動明王と一体(入我我入)となり、瞬時にこの身このままで覚りの境地に至る事ができるものと考える。

行者の姿は即ち不動の化身であると観念する。

現世利益のために護摩法などのあらゆる修法を施し、民衆と深く関わる。

現代の山伏〈修験者〉の多くは「半僧半俗」〈はんそうはんぞく〉の形態をとり一般の職業に従事する一方、山林修行などにより一時的に俗世間とは隔絶して、山内へと我が身を委ねる。

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